ノンアルコール市場は年々拡大しているとされ、2015年から6年連続で伸長を見せており、2020年は過去最大の市場規模となったと推定されています。
そして2021年は、更にその市場を上回る見込みとされており、ノンアルコール市場の拡大が非常に顕著となっております。
前置きが長くなりましたが、そんなノンアルコール市場を"世界で牽引している"ノンアルコールスピリッツ"SEEDIP"を今回は紹介していきます。
きっかけは"食前酒"?
2015年に、ベンブランソンにより創業されたシードリップですが、お酒を飲まないベンが、誰もが体験するような事を経験した事から始まります。
それは......
お酒を飲まないベンがレストランに行った際に、ノンアルコールのカクテルをお願いしました。そうして提供されたノンアルコールカクテルは、およそ食事にも場の雰囲気も合わないような、ピンク色のカクテルでした。そこでベンは、ノンアルコールでありながら、食前酒として楽しめる飲み物がないかと考えました。
2022年現在では、前述した通りノンアルコール市場が大きく拡大しているため、このような事は少なくなってきていると思いますが、2015年当時や、その後数年間で同じような経験をされた方も多いのではないでしょうか?
飲まない人や飲めない人、ノンアルコールへの理解が及んでいない事や、そもそもノンアルコールカクテル=モクテルのような存在も、あまり大切にされていなかったのではないかと思います。
1000本が3週間で売り切れる
そんな思いで作られたシードリップは、2015年11月4日にロンドンのセルフリッジという場所で販売され、手作りの1000本が3週間足らずで売り切れてしまうという大反響でした。
この事実を大手のスピリッツメーカー、例えば"ペルノリカール"や"バカルディ"が注目し、ノンアルコール市場が拡大していくことになります。
その後の2019年8月7日、アルコール飲料界世界最大手の"ディアジオ"がシードリップの株式の過半数を取得。
あのディアジオが手に収めておきたいと言うことは、今後のノンアルコール市場がますます拡大していく事を示しているかもしれません。
SEEDIPの製品とティスティング
現在3種類の商品が展開されています。
2015年に初めて販売された"GROVE42"を初め、"SPICE94"と"GARDEN108"があります。
まずは"グローブ42"からティスティングしていきます。
グローブはラベルからも分かる通り、オレンジをキーにしており、ブラッドオレンジ、ビターオレンジが使用されています。
他には、レモングラスや生姜、レモンやマンダリンが使用されています。
まずは香りですが、オレンジと柑橘(レモン系)の爽やかな香りがします。オレンジの皮の香りだけではなく、身を絞った時のような香りもします。
味わいも香りのままで、優しい酸味を感じるような味わいです。
次は"スパイス94"をティスティングしていきます。
スパイスは様々なスパイスをベースにし、レモンやグレープフルーツなどの柑橘系が使用されています。
まずは香りですが、カルダモン、トウガラシ、樽の様な木材の香りがします。
最初にトウガラシを感じるような、鼻の奥を"刺す"ような刺激が若干あります。
味わいは、若干の酸味の後に少しのスモーキー、タンニンの様な苦味が残る味わいです。
最後は"ガーデン108"です。
ガーデンはその名の通り、庭にいるような青い香りのする草木をベースに作られています。スペアミントやタイム、ホップやローズマリーなどです。
まずは香りからですが、スペアミントとローズマリーの香りを強く感じます。
味わいは、レモンの様な酸味と葉っぱを齧った様な苦味が感じられます。
どの商品も、炭酸やトニックで割るだけでも美味しく楽しめる味わいだと思います。
残念ながら日本未発売...入手方法は?
非常に魅力的なシードリップを、散々紹介しておきながら申し上げにくいのですが、2022年現在は、日本未輸入となっております。
まだまだ日本のノンアルコール市場が伸びる可能性を考えると、これからは簡単に買えるようになるかと思います。
現在は便利な世の中ですので、こちらのサイトから簡単に購入する事ができます。
ただ元々が高級品、当時から強気な価格設定(日本円で約3500円)と言われているシードリップなので、送料を含めると1本約5500円を超えます。(私は3本購入し、15000円では足りませんでした...)
以上となります。
最後に私が大共感している、ベンフランソンの考え方を紹介して終わりとします。
「ノンアルコール・スピリッツは決して禁酒を推めるものでも、アルコールに取って代わるものでもない」
◼︎ライターについて
・kazuki@モクテルクリエイター
JMA代表 ウイスキーコニサー ウイスキー検定1級 テキーラマエストロ
"飲まない日だって充実を"
お酒を否定するつもりはなく、当人もウイスキーが大好きで、特にタリスカーが好きです。
お酒を飲む人も飲まない人も、一緒に楽しめる文化を作りたいと思っています。
モクテルのスペシャリストを育成する資格講座、"モクテリスト"の運営もしています。
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